家づくりコラム

断熱

断熱材について

すでに約四半世紀以上も過去になりますが、「石油危機」以来、断熱材と呼ばれるモノが全国的に普及し、それを正しく施工すれば、冷暖房のエネルギーコストが下がり、暖かく、あるいは冷房の良く効く住宅になることは常識です。

  断熱のイメージ 断熱イメージ?

「エスキモーの防寒着」 (正面)

アラスカ・カナダ・グリーンランドに至る極北の狩猟民族の服装。

彼らも氷点下数十度の世界で、体温の低下を防ぐ”断熱材”を着ています。

「エスキモーの防寒着」 (背面)

外の過酷な環境から住宅内部の熱の変化量を守る、という点で、断熱材は同じようなもの、と考えれば良いです。

 

 

さまざまなハウスメーカーさんは断熱の商売文句として、外断熱・内断熱、高気密・高断熱・・・と、独自の工法・方法を考案し声高らかに宣伝しています。

 

誰だってローコストな、冷暖房費のかからない、快適な家に住みたいのは当然ですが一体、どんな工法を選択していけばいいのか。

 

工法があまりに多様すぎて、迷ってしまう方もいるのではないでしょうか。しかし究極的な性能は 「湿気のコントロール」、「耐久性の高さ」、「総合的燃費の良さ」に集約されます。  

 

熱の性質と種類

 

まず、熱の性質を知ることです。熱を伝えることを伝熱といい、熱のエネルギーは温度の高い方から低い方へ、どんどんと流れていく性質を持っています。

 

そして伝熱には種類があり、これを 「伝導」 「対流」 「輻射」 の3要素に分類しています。断熱とは即ち、これら3つの要素を止めることです。

 

 

1-1 「伝導」

 

物体そのものが熱を伝えることをいいます。 これは物体の分子間を熱が移動するため、分子がたくさんある物体ほど(中身が詰まっている程)熱が伝わりやすい為です。

一般に重いもの(コンクリート、ガラス、鉄等)がそれにあたります。熱を伝えなくするための断熱材は軽く、分子量を少なく(軽く)する必要があります。

 

 

1-2「対流」

 

空気の移動によって熱が伝わることです。

 

壁体内が空洞で空気が入っているとすると、冬外気によって冷えた外壁側の空気は下降し、室内側に面する空気は暖められ上昇します。そこで壁体内で対流が発生し、熱が伝わってしまいます。

 

一般的には、これが25mmをこえると対流が始まり、これに乗って熱も動き始めるので、壁体内に空間があって良いことは全くありません。

 

壁体内には十分に断熱材を充填しますが、断熱材そのものにも空気が含まれていますので、スカスカの断熱材だと、この中で対流が起きて伝熱してしまいます。

 

そこで断熱材は繊維が細かく内部空気の動きにくいものが良いとされています。断熱材として、発泡スチロール状の商品や、綿状のグラスウールが使われているのはこの為ですが、コストバランス的にはこれらを適宜、組み合わせて使用するのがベストです。

 

 

1-3「輻射」

 

輻射は、熱が高いほうから低いほうへ、直接移動することです。夏場に気温が体温よりも低いのに、外の温度が非常に暑く感じること、ありますね。

 

それは、太陽で熱せられたコンクリートやアスファルトの熱が、 「赤外線」 と呼ばれる熱線となって、比較的低い温度の人間に移動している現象です。

 

また冬に、窓の近くにいると寒く感じるのは、高いカラダの体温が赤外線となり、より温度の低い窓ガラスの表面へどんどん移動するからです。

 

窓ガラス自体はほとんど断熱効果はないので、これをペアガラスや2重サッシにすることによって、窓内部に断熱の役目をする 「空気層」 を入れることが有効です。

 

最近は窓枠にも、より熱を伝えにくい 「樹脂」 を使ったもの、ガラスも二重Low-e熱線反射や、三重ガラスといった商品も流通しています。

 

1-2「対流」 の話しにあるように、内部の空気層を広く取ってしまうと中の空気に対流が起き伝熱してしまうということもあります。

 

 

内部結露ってご存知ですか?

 

通常木造住宅では柱と柱の間にグラスウールやロックウールと呼ばれる断熱材を充填します。

 

これら繊維系の断熱材は空気中に含まれている水蒸気を通してしまいます。(水蒸気の大きさは水滴の約200万分の1)

 

冬、外気が0度、湿度50%ですと空気中に含まれている水蒸気量は約2.5g/m3です。一方室内側が温度23度、湿度60%とすると約12g/m3の水蒸気が空気中に含まれています。

 

この水蒸気は圧力差によって高いほうから低いほうへ移動するのです。(この場合室内側から屋外側に移動します)。水蒸気を通してしまう断熱材では壁体内で水蒸気の移動が起きてしまいます。

 

すると外壁側に近い冷えた空気を含む断熱材の部位では移動した水蒸気の一部が結露となって壁体内をぬらしてしまうのです。これが内部結露と呼ばれるものです。

 

壁の中のグラスウールは、空気の流通が悪い為いつまでも木材を湿った状態にし、やがて腐敗菌が活発に活動をはじめる「夏」の季節を迎えます。

 

半年かけてようやく乾いた頃に、また冬が来て内部結露を生じる・・・・。

 

こんな悪循環を何年も繰り返した結果、土台や柱は無残に腐り、家は20年程度で建て替えを余儀なくされる悲劇が起こった事例もあります。

 断熱材のなれのはて

リフォーム中の物件です。

断熱材と下地の接触部分が腐食している様子がよく、分かります。

壁の内部で発生している分、虫歯のように末期症状になるまで 分からないこともあります。

 断熱材のなれのはて

 基礎下部の写真です。

結露水が土台を長年濡らし続けた結果、こうなったようです。

上写真は建物の解体中のものです。湿ったグラスウール(GW)が重みで垂れ下がり、黒くカビが生えている様子が見られます。

 

垂れ下がった断熱材にはもう、断熱効果がないばかりか、柱や土台をただ、腐食させるだけです。断熱材の選定と施工の方法いかんで、建物の寿命は決定されるとも言えます。

 

最近の高断熱住宅でも、テープや接着剤の性能に頼り切った防湿層では数年後、これらの効果が消えたとたんに、このような事は起こってしまうといった事例もあります。

 

以上のことから、断熱性能と内部結露は非常に密接した関係にあることが分かります。では理想的な断熱性能を持った建物は、どういったものなのでしょうか。

 

理想的な断熱性能

 

(1)屋根や壁付近(外皮)で生じる湿気が、適切に排出される仕組み(空気が出入りし、すぐ乾く仕組み)

(2)断熱性能が高く、将来的にも室内の湿気が壁に侵入しない仕組み(断熱性能の高耐久性)

(3)最小限のエネルギーで住める工夫:低燃費性能)

 

これが実現できれば、建物がかなり長生きします。そうったやさしい環境は、中に住まう家族が健康で長生きします。さらに交通事故より死者の多いとされる、ヒートショックの心配も消え去っていくのです。

 

子の代、孫の代にいたるまで長持ちしてくれ、住み継いでいける暖かな家。大切な断熱についてのフォルムゼノマの取り組みは、以下のような仕組みを基本として、全ての建物に採用しています。

 

 

フォルムゼノマの家の断熱性能

 

1.「ストラクチャル・デザイン」

 

本来ならば隠れてしまう木組をデザインの一部に取り入れ、出来るだけ室内に露出する造りを取り入れています。木自体の持つ調湿性・蓄熱性をも最大限、利用します。

 

コンクリートの建物の様に、一度暖めるとなかなか冷えない膨大な熱容量、そんな建物は無垢材木の使用量に比例します。

参考資料 →「木の効果について」  

 ストラクチャルデザイン ストラクチャルデザイン

 

2.「ゆとりのある、空間演出」

 

通常は利用しない小屋裏に断熱をしっかり施し、斜め天井やロフトを積極的に採用します。熱は暖房だけでなく、立体的にも生活に利用出来るよう工夫した設計を心がけています。

 

ここを開放した間取りにすると、家中の熱が集まり洗濯物等がよく乾きますし、寝室や子供室にすれば、寝る前にポカポカの暖気が集まってくれます。

 

 ストラクチャルデザイン  ストラクチャルデザイン

 

3.通気を持った、高断熱・高気密の「低燃費住宅」

 

壁や天井内部に通気層を造り、常時空気が流入することで内部結露を防ぎ、建物の耐久性を高めます。外壁水切や軒先から流入した空気は、建物の棟付近に生ずる気圧の変化により、内部に生じた湿気ごと、常時吸い出されていきます。

 

壁や屋根・床を構成する断熱層は、次世代基準を大きく上回ります。また室内壁の下地に設置する防湿層は、 「木の効果」 を最大限生かしつつ、壁体内への湿気侵入を確実に防ぎます。

 

 

4.『深い軒の出』

 

外壁面が雨で濡れるのを防ぎ、夏には直射日光を遮る。建物内部に「風」をとりいれるための櫂 (カイ:水をかいて舟を漕ぐのに使う道具) のような役割を果たし、夏場の空調の助けとします。

参考資料 →軒の出について

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