家づくりコラム

インフィル(建物内要素)

珪藻土の本当の話①

このところ健康・自然素材のブームですが、内装材に珪藻土を使っているというのが売りになっているといった話をよく聞きます。吸放湿性がある、シックハウス防止に効く、健康によいなどなど。確かに珪藻土自体の吸放湿性能は高いから、それを壁に塗ることにより室内環境が改善することは確かなことです。

しかし実際に内装建材として売られている「珪藻土建材」に吸放湿性能はいったいどの程度あるのか、ここにかなりの疑問が残ります。

珪藻土って何?

珪藻土には、いくつかの種類があるようですが、太古のプランクトン(珪藻)の遺骸が堆積した「泥」であることは同じです。

 珪藻土顕微鏡  珪藻土顕微鏡 珪藻土の、電子顕微鏡写真。植物のように見えますが、珪藻(プランクトン)のようなものの化石です。その大きさ数ミクロン! 

水分や油分を大量に保持する性質があり、古来から乾燥土壌の地盤改良材や、その細かさからフィルター等にも使われていたようです。

狭心症の薬ニトログリセリンを珪藻土に吸収させ、安定させることでダイナマイトを発明したノーベルは、珪藻土の持つ吸収力の大きさに目を付けた有名な例です。

ちなみに、このダイナマイトの命名が珪藻土:ダイアトマイト(Diatomaite)に由来しています。

このように吸収力が高いのは、石灰化した粒子(プランクトン遺骸)の表面に無数の孔が空いているから。活性炭以上に「湿気の吸放出効果」が高いと宣伝できるのでしょう。

こうした珪藻土自体の説明はご存じのことでしょうから、省きます。あやしいのは、その「珪藻土」と建材として販売されている「珪藻土建材」とは同一の物なのか?です。

固化しない(固まらない)材料

ところで漆喰や石膏、セメントは水を混ぜれてしばらくすると固化します。しかし珪藻土には固まる性質(自硬性)はまったくありません。乾くとまた土の状態に戻ります。

珪藻土製品として代表的な七輪が固まっているのは、高温で焼いているからです。その七輪でも硬いものでこすれば、珪藻土が容易に削れてきます。

しかし市販の珪藻土建材のほとんどは、なんと合成樹脂を固化材に使っているのです。接着剤のような合成樹脂には吸放湿機能が全くありません。

だから合成樹脂を加えることは、せっかくの珪藻土の吸放湿性質を妨害しているのです。 

では市販の珪藻土建材にはどのような固化材がどの程度含まれているのか?です。しかしこれを明確に示しているメーカーはほとんどありません。

しかも驚くことに、珪藻土建材に珪藻土が何%入っているかを示しているメーカーもほとんどありません。

ある建材メーカーの調査によると各社製品の混入率は21%から57%までと書いてありました。珪藻土建材といっても内容にかなりの差があるということです。

またその業者の運営するホームページには、合成樹脂を用いることは珪藻土の性質を阻害する、とも書いてあります。

珪藻土の混入比率が少なければ吸放湿性能が劣る、また合成樹脂の比率が多いほど吸放湿性能が劣る、というデータも示されています。

さらにメーカーからすれば、目的は大量販売。品質の安定しない自然素材だとしても、大量に樹脂を混入させ、少なくとも工業製品のように色や品質を安定させないことには、売れません。

そうやって作られた建材のうち、どれがいいかを選べればいいのですが、しかしその選択をするためのデータはほとんど公開されていない。

これが現状なのです。

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