家づくりコラム

空間設計・間取り

☆寝室編☆

寝室は、言わずと知れた「眠る」ために使用する部屋です。

しかしながらその位置付けとすれば、その日の騒がしい日常の生活を終え、一人の人間に立ち戻り、ゆっくりとくつろげる「場所」としての意味合いも出てはこないでしょうか。

これからの高齢化社会を控え、ゆとり生活が見直されている今、寝室での生活を見直してみようと思います。

寝室の設計

設計する際には、家屋の立地、構造、昼間の使用条件、使用する人、好み、家族構成などについてのヒアリングを行いますが、さまざまな条件の違いが考えられます。

だから、求められる寝室としての条件も、幅が広く内容も異なってくるのが当然。しかし、共通することはその時々に応じながら、いかにして快適なくつろぎ空間と睡眠環境を作り出すか、と言えます。

睡眠

そこで、快適な寝室を作る為に、以下について十分考慮した上で設計に盛り込んではいかがしょうか。

快適な寝室を作るために〜初級編〜

【家庭内において、プライバシーが確保できる個室であること】

夫婦の寝室は、家庭内でもっとも厳重にプライバシーを守るべき場所です。だって、エッチもするでしょうし、夫婦喧嘩もしますからね。 

夫婦の睡眠 

 夫婦間の会話は、家の中でもトップシークレット。

そんな大事な部屋に「壁に耳あり、障子に目あり」では困ります。

その為、上下左右隣接する部屋に音が出入りする事がないよう、防音材や間取りの工夫が必要です。

「聴こうとすれば聞こえるから」隣で聞き耳たてられるなんて、想像しただけで嫌ですからね。

また、気付きにくいのが家族の動線。寝室は突き当たりの部分に設置し、寝室の住人以外がドアの前を通ることの無いようにすると、プライバシーがさらに高まります。 

 動線の件

 太い赤線が寝室までの人の動き。

行き止まりが寝室なので、他人がドアの前を通りません。

 【屋外や屋内での騒音が寝室内に入らないこと】

道路の位置や、近隣の騒音が発生するような場所からは、なるべく遠ざけたほうが賢明です。寝付きにくい寝室なんて、寝室に意味がないのと同じです。

 

 寝室の騒音  寝不足を生む寝室 寝室の第一条件は、なにより睡眠がしっかりとれる事。 

あと、注意が必要なのは同居の場合。高齢者と若い世代は、生活時間帯が異なります。高齢者が夜中のトイレに立つ音や、高齢者が就寝してからの居間での騒音などは、世代間のもめ事の原因になりがちです。

こういった、音に対する配慮も、間取りを決めるときには非常に重要です。

一般的な大手ハウスメーカーが薦めるAタイプとか、Bタイプとかのパターン間取りは、こういった千差万別の敷地条件・家族構成に対応しにくいので、十分に注意して下さい。

寝室の内装は音を吸収する構造であり、材質であること。

日中には少しも気にならなかった時計や電気冷蔵庫のなどの音が、夜には同じ音でありながら耳障りなことがあります。

これは日中には他のレベルの高いさまざまな音(暗騒音といいます)があって、これに隠されて感じないでいるからなのです。

夜になるとさまざまな暗騒音のレベルが低くなったり、なくなったりするので、日中感じなかった音も感じるようになってしまうのです。

こうした音に、知らず知らずのうちに安眠が妨げられてしまう恐れもあるため、寝室のインテリアや内装には吸音効果を有するものを設置すると、ある程度の効果が認められます。

例えば音を反射しにくい生地の厚いカーテンや、カーペット。凹凸の多いクロスも、音を拡散させてくれますし、葉の多い植栽やぬいぐるみも効果的なのです。 

 寝室  やわらかいもの、デコボコしたものは、寝室を静かにしてくれます。

【着替えや寝具類の収納機能】

寝室には、多数の寝具や着替えを収納するため、手持ちのタンスをズラリと並べる方法もあります。しかしそれだと室内にかなりの圧迫感が発生しますし、ホコリも溜まれば地震で倒れる危険もあります。 

地震  タンス倒れる  あの阪神大震災の死者のうち、30~50%が家具の倒壊による圧死が原因。 

あの阪神大震災では、家具の下敷きになって負傷したり、命を失う人が相当数いたようですが、こういった問題をすべて解決できるのが、大工工事による作り付けの収納です。

大工工事で工事中に製作すれば、空間を無駄なく利用でき、壁にも固定できている、地震対策も完璧な収納が、意外に簡単に作れます。

「あとで家具を買うから・・・」なんて面倒くさがらず、工事前には設計士としっかり相談しましょう。デザイン的にも、予算的にも、納得できるものをきっと、作ってくるはずですよ。

快適な寝室を作るために〜上級編〜

夜間照明は全体の明暗をする全般照明と、机や枕元などを照らす部分・間接照明とがあれば便利です。

日本家庭では「明るさ第一」。

どうも暗いことは、貧乏で、貧弱なイメージがあるようで、実際、どのお宅へ伺っても天井にアクリルカバー付きの蛍光灯照明があり、部屋中が明るくなっています。

もちろん、夜に掃除をしたり、寝室で作業をする為には、明るい照明は不可欠でしょう。しかし、眠りに着く前の穏やかな時間と、作業時とは、事はまったくの別問題です。

海外映画をみると、寝室の照明は天井照明ではなく、ソファーやベッド横のスタンドだったりします。部屋中を明るくするのではなく手元だけを明るくする。

オフィスでは蛍光灯で部屋中を明るくする。

これは一般的な海外の照明方法です。このメリハリのある照明方法は人体に優しく、しっかり睡眠がとれ、かつ体内時計が整えられるのだそうです。

 寝室の間接照明

 寝室の一例。

間接照明と電気スタンドがほのかに寝室を照らしてくれます。

【着替えや寝具類の収納機能(その2)】

初級編にも同じ項目がありましたが、さらに上をいくのがウォークインクロゼット方式です。寝室に隣接させた収納用の空間を作り、膨大な量の寝室の寝具や着替えをまとめて入れてしまいます。

もちろん内部には、手持ちのタンスを設置してもよいのですが、洋服を掛ける吊パイプや収納棚、布団置き用の棚を、こちらももちろん大工工事で作ってしまうのが空間の効率・安全性共に効率的になります。

さらに、くつろげる場所として寝室がある、と考えるなら、着替の様子を見せないよう、同居人同士の互いの気遣いが出来る機能も必要です。

だって、本を読んだり、TVをみて静かに過ごそうとするそばで、中年代の、たるんだ体型の、あられもない着替えを見せられるなんて、不愉快なことこの上ないはず。

 メタボの腹 くつろいでいるあなたの視界に、こんなのが見えると非常に不快!   メタボの腹

いくら気心が知れた夫婦とはいえ、百年の恋もまたたく間に覚めていきます。最近はやりの熟年離婚は、こんな不満が長年募ったことかも原因かも知れません。

そこで、こちらもウォークインクロゼット内で出来るようにしましょう。夫婦共々、お互いに気遣いするように習慣づければ、ベッドの上に着替えが脱ぎ散らかされる事もきっと、なくなりますよ。 

 クロゼット室

 クロゼット室に必要なのは、洋服かけに収納棚。

更衣室として使用する事で、洋服が室内に散らかりません。

 

まとめ

さてここまで長い道のりでしたが、上記について設計士さんとしっかりと検討できてさえいれば、寝室に残るのはほぼ、ベッドとその他一部家具のみになります。

寝室の設計がうまくいけば・・・

家の中でいちばん安全で落ち着けるのが寝室で、

着替えはスマートにできるのでいつでも夫婦円満で、

室内はいつでも片付いて生活感なんてどこにも感じない・・・

そんなホテルみたいな寝室が、あなたのお宅にもきっと、完成するはずですよ。

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