暮らすを考える知恵袋
2022.11.17 家づくりコラム
損か得かの選択肢
こんにちは、フォルムゼノマです。
新築、あるいはリフォームをお考えの方に、知っておいてもらいたい話を今回はしていきたいと思います。
住宅建築は想像以上にコントロールされており、見識を持てるかどうかで得られるものが大きく変わります。
多くの人たちは、住宅業者を自ら選べていません。幾つかの同業者が集まるような総合展示場でもその中から「選ばされて」おり、住宅を建てるならどこ?と考えている雑誌や広告での情報からの選択も同じく「選ばされて」いる状態。つまり「宣伝上手の業者」からしか、選択できていない状態です。
また住宅総合展示場は、坪単価100万~といった一般サラリーマンでは絶対に手が出ない、それは素晴らしい建物群です。そこは憧れと夢を膨らませる為に存在し、その気になったお客様に予算に応じた家を売るといったパターンです。ものは試し、そこの営業マンに「こんな住宅、あなたみたいな一般の方でも普通に建てられるの?」と聞いてみてください。だいたい「こんなの無理です」って答えます。総合展示場はあまり参考にはならないと思います。
設計技術や流通の良し悪しもありますが、自社展示場みたく宣伝広告費を大量に投入する業者とそうでない業者とで根本的に異なるのが、建物の質にかけるコスト。宣伝と質のコストバランスについて各業者、どちらに重きをおいた予算配分で家を建てているかは想像しかできませんが、一般的に日本の住宅平均寿命は26年足らず、35年ローンが終わるまで建物が持たないのは、低品質の建物が世に多く出る構図となっている為です。20年程度で劣化し、住まいに愛着がなくなった頃に再度、建替えを薦める営業マンがやってきます。
質=品質の違いを見抜くのは非常に困難です。安い=良心的とも言えません。ただ言えるのは、自分たちの得意とする商材を薦めるのではなく、世間一般に流通している長持ちする材料を限られた予算内でどこまでうまく使ってくれるか、もうこれに尽きると思います。工業製品はきれいに見えますが、製造されなくなるリスクが大きく将来の補修がきかない、一方で自然素材は経年とともに味わいが出て、劣化ではなくビンテージ感と愛着をもたらしてくれ長く使えますが、品質のばらつきも大きくクレームも多いと言えます。
高耐久の使い方をうまく薦めてくれる「自信」があるかどうか、相談に乗ってくれる担当者にこの「意識」があるかどうか、そしてプロとして、長い目でこちらの立場に立った提案をしてくれようとしているかどうか。これがよりよい業者を選ぶ指針になると思います。
<三代続く家のイメージ:祖父母が家を建てたら、父母が別荘を作り、孫の代にはヨットを買う。建物が長持ちすれば、そこに至るはず>
最後に家を建てる側としての防御策として、業者の説明の仕方や目に見えるものに疑問や好奇心を持ち、全てにおいて納得できるかどうか。これを心に留めておくだけで手に入る建物の「質」と、建物平均寿命とされる26年後に訪れる生活のクオリティが格段に変わりますよ。