伝統構法「ワクノウチ」とは? - フォルムゼノマ

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2021.11.04 家づくりコラム

伝統構法「ワクノウチ」とは?

こんにちは、営業担当の水野です!

みなさんは、「ワクノウチ」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
ワクノウチとは、富山県の伝統的民家にも多く使われた伝統構法です。
太い柱とそれを繋ぐ「差し鴨居」と「」、さらには「(ヌキ)」が何本も横に通された伝統的木組みによって構成されます。
ケヤキ間(ま)」や「茶の間」など呼び名は様々ですが、今も富山の古い民家には「ワクノウチ」が残っています。

フォルムゼノマでも、リノベーションの際に何度か素晴らしいワクノウチに出会ったことがあります。
ワクノウチで主に使われるケヤキ材の意匠的な力強さや、美しい木目、そして大きく吹き抜けた天井の高い空間は、建物全体に気品を漂わせていました。
しかし、ケヤキ材は市場的に品薄で入手が困難=高価であり、現在は新築住宅でワクノウチを取り入れることは非常に困難とされています。

ワクノウチの魅力は、デザイン性もさることながら、古くから伝承されてきた性能にあります。
伝統構法の家は、「地震の力に対してどうやってそれを受け流し、分散し、逃がしていくか」という考えに基づいて造られています。
自然のエネルギーに対して抵抗するのでなく、柔軟に受け入れる「柔構造」です。
一方で、現代の家は、「地震に対して地面にしっかり固定し、びくとも動かないように家全体を固める」という考え方で造られています。
自然のエネルギーに対して、あくまで頑固に抵抗して、人知の力で対抗していく「剛構造」です。
つまり、現代の家と伝統構法の家の耐震性に対する考え方は、全く対照的なのです。

伝統構法の家は、地震のエネルギーに対して様々な形で力を受け入れ逃がしていこうという発想ですから、大きな地震が起きても致命的な破壊ということが起きないと考えられます。
この柔構造の大きな特徴が、「(ヌキ)」です。
貫は、壁の中に水平に入っている部材で、柱を通し、仕口(*1)で固定されています。
通常は、この貫の上に竹小舞(*2)がひかれ、その上に土壁が付きます。
この「」と「竹小舞」と「土壁」の組み合わせが、粘り強さの要。
建物に大きな力が加わると、柱・梁の“しなり”が「」を介して建物全体で地震の衝撃を受け止め、力を分散させる機能を持ちます。
さらに、土壁が外からの力を吸収し、小さな地震には土壁の剛力が、大きな地震では土壁が崩れることで地震に耐える力を持ちます。
最後は、柱を貫通する「」によって建物の崩壊を防止するのです。
*1仕口(シグチ)…2つ以上の部材を組み合わせる接合箇所または方法。
*2竹小舞(タケコマイ)…細い竹できた土壁の下地材

伝統建築の破壊最終局面では、基礎の上で建物がズレることで力を逃がします。
つまり、「歪ませても建物を壊さない」のが伝統構法の妙。
地震の規模によって段階的に防御策が取られていて、最悪の場合でも家の中の人間は生き残れるように考えられています。
しかも、たとえ家が歪んだり、基礎からズレたり、壁が崩れたりしたとしても、それを直すことが出来る作りになっていて、命を失うことはありません。
事実、鳥取西部地震や中越地震で伝統構法の家に住んでいた方のうち、亡くなられた方はほとんど無かったといいます。

現在は、伝統構法による新築住宅建築は難しいですが、富山にはまだまだこの工法で建築された家がいくつも残っています。
リノベーションによって、新しい住まいに生まれ変わらせることも可能です。
次回は、その事例をご紹介したいと思います。